矢神久美とウィンブルドン

9月19日にSKE48初のオリジナルアルバムが発売されます。
デビュー曲「強き者よ」から8thシングル「片想いFinally」までのすべてのシングル曲やAKB48のカバー曲も収録されるとのことです。
しかし、このアルバムの最大の売りは付属DVDの63人63MV収録でしょう。
SKEの全メンバーが曲を選びオリジナルのMVを作る。何とも素晴らしい試みではないでしょうか。
そして、先日その収録曲が公表されました。

これを見ると中心メンバーは自分の好きな曲を選んだことが分かります。
松井珠理奈「Glory days」松井玲奈「枯葉のステーション」高柳明音お待たせSet list」木粼ゆりあ「狼とプライド」大矢真那「チョコの行方」など順当な選曲となっております。
その中で明らかに異質な選曲がありました
矢神久美「花火は終わらない」
「花火は終わらない」は個人的には大好きな曲です。SKEの隠れた名曲だと思います。
しかも、その曲のMVをくーみんで作る。こんなに嬉しいことはありません。
しかし、SKEのファンならきっと誰もが思ったでしょう
ウィンブルドンはどうしたと

手をつなぎながら公演における「ウィンブルドンへ連れて行って」の意義

手をつなぎながら公演は2009年2月から始まったSKE初のオリジナル公演にして「神公演」との呼び声も高い公演です。
現在ではHKT48が手つな公演をしているのでそちらでなじみ深いかもしれません。
手つな公演にはユニット曲が5つあります。
松井珠理奈桑原みずき・中西優香の「Glory days」、出口陽・小野晴香・高田志織の「この胸のバーコード」、松井玲奈松下唯・山下もえの「雨のピアニスト」、大矢真那・新海里奈・平田璃香子・平松可奈子の「チョコの行方」、そして矢神久美・高井つき奈・森紗雪の「ウィンブルドンへ連れて行って」です。

この5曲はそれぞれ特色が異なっているのですがウィンブルドンに関しては王道のアイドル曲ということが言えます。手つな公演の曲の中では異色の曲と言えるでしょう。
ウィンブルドンはSKEの公演曲の中でも非常に人気の高い曲です。ではどのようにこの名曲は誕生したのかを考えたいと思います。

年少組に課せられた重いハードル

ここで手をつなぎながら公演が始まった2009年2月時点での各メンバーの学年を若い順に見てみたいと思います。
小6・・・松井珠理奈森紗雪
中1・・・高井つき奈
中2・・・矢神久美
高1・・・新海里奈、山下もえ
高2・・・松井玲奈平松可奈子桑原みずき
高3・・・大矢真那、高田志織
それ以上・・・平田璃香子、中西優香、松下唯出口陽、小野晴香
これを見れば分かるようにウィンブルドンのみ明らかな年少組で構成されています。
他のユニットには必ず高校卒業以上のメンバーが一人はいます。
この時点での最年少は松井珠理奈ですが、桑原みずき・中西優香という実力面では勿論、精神面でも松井珠理奈を支えられるメンバーがいました。
一方のウィンブルドンのメンバーは最年長の矢神久美ですら中学2年生。
この年少組3人で一つの曲を作り上げなければならない。
これは想像以上のプレッシャーだと思います。
SKE初のオリジナル公演で間違いなく今後の試金石にもなる公演ということも3人は分かっていたでしょう。
だからこそ、必死にもがきながら3人で「ウィンブルドンへ連れて行って」という曲を作り上げたのだと思います。
結果として手をつなぎながら公演、そして「ウィンブルドンへ連れて行って」は各方面で賞賛されました。3人にとって本当に嬉しかったことでしょう。

終焉

高井つき奈は2009年8月にSKEを卒業しました。
矢神久美と森紗雪は制服の芽公演でも「狼とプライド」で同じユニットとなりました。
48グループの公演では異例のことです。
しかし、森紗雪も2010年5月に卒業しました。
この2人が卒業したことが矢神久美に与えた影響は非常に大きいと思います。
矢神久美は人見知りということもありSKEの中でも隅にいることが多かったそうです。
そんな中で年齢も近く、そしてウィンブルドンという曲 を1から一緒に作り上げた2人の存在は本当に大きいものだったのではないでしょうか。
高井つき奈の卒業の時に矢神久美が言った
「いつも私の隣にいてくれてありがとう」
端的にこのことを表していると思います。

矢神久美にとってのウィンブルドンとは?

私は矢神久美にとって「ウィンブルドンへ連れて行って」は今でも間違いなく一番大切な曲だと思います。
中学生という人生でも一番多感な時期に様々なプレッシャーを受けながらも3人で作り上げた曲です。
では何故今回の63人63MVでウィンブルドンを選ばなかったのか。
それを考えるのためにウィンブルドンの現在を考えてみましょう。
ウィンブルドンへ連れて行って」は今でもSKEを代表する曲の一つです。
ライブで披露されることも非常に多い曲です。
KⅡ公演の時にウィンブルドンを担当していた高柳明音、最近では木本花音もライブでウィンブルドンを担当しました。
唯一のオリジナルメンバーである矢神久美も勿論ウィンブルドンをやる機会は多いです。
最近ですと、木粼ゆりあや須田亜香里と一緒に披露しているイメージがあります。
しかし、矢神久美のウィンブルドンを見るたびに何かが違うと感じてしまいます。
勿論、先入観があるからかもしれませんが私には心の底から楽しんでいるようには見えません。
矢神久美にとって高井つき奈、森紗雪がいないウィンブルドンウィンブルドンじゃないのではないでしょうか。
そしてもう二度とその二人と一緒にウィンブルドンを披露する機会が無いことをきっと分かっていることでしょう。
だからこそ矢神久美は心の中に3人で披露しているウィンブルドンを留めておきたいのではないでしょうか。
今回、ウィンブルドンを矢神久美が選ばなかったのは2人への想いからなのではないでしょうか。
そんなことを私は思いました。