2012年アイドルアルバムベスト10!

前回の記事で2012年アイドルソングベスト10について書きましたが、今回は2012年アイドルアルバムベスト10!について書きたいと思います。
というのも今年はアイドルのアルバムが非常に良い作品が多かったと感じているからです。
選ぶ制約としてはアイドルソングを選んだ時と同様に2012年に発売されたもの、かつ音源で聴いたことがあるものにしました。
では早速10位から紹介したいと思います。

10位 私立恵比寿中学「エビ中の絶盤ベスト〜おわらない青春〜」

エビ中初のアルバムはインディーズ時代の曲や未収録曲で構成された全17曲70分以上にも及ぶ大作に仕上がっています。
エビ中は現在急速に人気が上昇していますが、正直な所そんなに興味が無かったのできちんと聴いたことはほとんどありませんでした。
知っている曲と言えば「仮契約のシンデレラ」くらい。
そんな状況の中で本作を聴いたのですが予想以上に良かったです。
1曲目の「ebiture」から度肝を抜かれました(笑)「えびぞりダイアモンド!!」のインパクトも凄い。
また、賑やかな曲ばかりなんだろうと思っていましたが予想外に色々なタイプの曲があったのが良かったです。
エビ中は今後どのような方向性を目指すのか気になるグループだとこのアルバムを聴いて思いました。

9位 さくら学院さくら学院 2011年度 〜FRIENDS〜」

BABYMETALやTwinklestars、科学究明機構ロヂカ?といった派生ユニットが言及されることが多いさくら学院ですがあくまでもこれらはさくら学院の部活動ですし、派生ユニットでは無い曲も良い曲が多いと思います。
本作はBABYMETALの「いいね!」Twinklestarsの「プリーズプリーズ」といった部活動の曲やさくら学院本体の「ベリシュビッッ」、更には2011年度でさくら学院を卒業した武藤彩未三吉彩花松井愛莉の3人による「3.a.m」ととにかく良曲揃いかつ多様性にも溢れています。
私はBABYMETALに関しては非常に好きで良く聴いていたのですが、さくら学院に関しては敬遠していました。
しかし、このアルバムを聴いてさくら学院の曲の質の高さや成長期限定ユニットであるがゆえの魅力等を感じることが出来ました。
また、さくら学院のことを知ったことによってBABYMETALの新たな魅力を知ることが出来たと感じています。

8位 NegiccoNegicco 2003〜2012 -BEST-」

Negiccoの軌跡というのは私みたいなNegiccoのことを最近知った人間が語ることではないと思います。
ただ、一つ言えることとしてはこのアルバムを聴けばNegiccoの軌跡の一部を感じることが出来、同時に曲の質の高さを感じることが出来ます。
Negiccoのライブにはまだ行けていないのですがいつか行きたいとこのアルバムを聴いて改めて感じました。
ネギ型サイリウム持ったり、「圧倒的なスタイル」でラインダンスをしたり。
Negiccoは観ているだけで何かほっこりするアイドルだと思います。。

7位 東京女子流「Limited addiction」

前作「鼓動の秘密」に次ぐ女子流の2ndアルバム。
「Limited addiction」「Liar」といった2011年に発売された怪物級のシングルを中心に「Sparkle」やバニラビーンズも参加した「眩暈」、「Regret.」など非常に完成度の高い曲が揃っている。
個々の曲のクオリティなら前作「鼓動の秘密」よりも上なのではと感じています。
では何故7位という順位にしたのか。
それはアルバム全体として考えた時に「鼓動の秘密」よりも劣ると感じたからです。
「鼓動の秘密」は表題曲「鼓動の秘密」や「おんなじキモチ」「ヒマワリと星屑」などを始め非常にバランスが良いアルバムになっていたと思います。
一方の今作の「Limited addiction」はカッコイイ大人びた曲があまりにも多すぎると思います。
どうしても背伸びをしていると感じてしまいました。
等身大の女子流を感じることが出来るのが「We Will Win! -ココロのバトンでポ・ポンのポ〜ン☆」1曲のみというのはどうなのかなと。
カッコイイ女子流は勿論大好きですが、同時に「鼓動の秘密」「おんなじキモチ」「キラリ☆」といったような等身大の女子流にも名曲揃いなわけでそのような曲をもっと聴きたかったというのが本音です。

6位 LinQ「Love in Qushu 〜LinQ 第一楽章〜」

LinQの1stアルバムはLinQデビュー公演の際のセトリを曲順通りに再現したものになっています。
デビュー公演でいきなりこのクオリティというのは本当に恐ろしいことだと思います。
2011年を代表するアイドルソングであり、洗練されたサウンドと福岡という地域に根付いたアイドルであることを感じさせる詩が絶妙な「ハジメマシテ」、2012年を代表するアイドルソングで可愛らしさの中に刹那性を感じさせる「さくら果実」という圧倒的な質の2曲を中心に「きもち」「なう。」などとにかく良質な曲が揃っている。
また、Qutyの少女性に溢れた可愛らしい曲と「Fighting Girl」に代表されるようなLadyの大人だからこそ出せるカッコイイ曲と非常にバラエティに富んだアルバムに仕上がっている。
LinQを知るにはまずこのアルバムを聴けば良いという入門的なアルバムとしても機能していると思います。

5位 Bis「IDOL IS DEAD」

全裸MVだったり、けつバット会だったり、ビンタ会だったりと過激なパフォーマンスが注目を集めアイドル界で異彩を放っているBis。
しかし、Bisが自由奔放に活動できるのは良質な楽曲があるというのが前提なのではと思います。
代表曲である「nerve」、「primal.」を始めとした先行シングル曲は勿論のこと「hitoribochi」などとにかく良曲で溢れたアルバムとなっていると思います。
松隈ケンタという稀代の才能のプロデュースとBisが持っている「エモさ」が合わさった結果こんなにも面白いアルバムが、そしてアイドルが出来上がった。
アイドルが既に飽和状態で淘汰が始まるのも時間の問題だと思いますが、そんな中で既にアイドル界の中でポジションを確保しているBis。
今後の活躍を期待したいと思わせてくれるアルバムでした。

4位 ひめキュンフルーツ缶「恋愛ミラクル」

まず、このアルバムで嬉しいのが15曲も収録されているということ。
ロコドルということもあって経済的にそこまで余裕があるとは思えないけれども、そういった中で出し惜しみをせずに15曲も収録してくれたことは本当に嬉しい。
やっぱり今まで曲をきちんと聴いたことがないアイドルだと10曲聴くのと15曲聴くのは全然違うから。
そして、勿論曲の質も素晴らしい。
1曲目の「iの奇蹟」でいきなりひめキュンの世界に引き込まれて、その後も「ワタシダイイチキボウ」「恋の微熱」「恋愛エネルギー保存の法則」といった良曲が続く。
また、最後の曲「例えばのモンスター」はカバー曲なのだけれどもアイドルが今までに挑戦してこなかった青春パンクというジャンルに挑戦して見事に表現しきっている。
本作はタイトルが「恋愛ミラクル」であるように恋愛について歌っている曲が大半を占める。
アイドルが恋愛を歌うというのはよくあることだと思いますが、それを等身大で出来るグループというのはほとんど無いと思う。
けれども、ひめキュンの曲はどれも等身大で中学生の恋愛を見事に表現しきっていると思う。
等身大の恋愛の表現という点でひめキュンは1st、2ndアルバムの時期のBerryz工房と並ぶレベルにあると思う。
そしてサウンド面でもアイドル×ロックを非常に高い次元で表現していると思います。
私は同じくアイドル×ロックを標榜しているBuono!が一番好きなアイドルなのですが、Buono!の活動がこのまま停滞し続けるならばアイドル×ロックの代表格はひめキュンになるのではと思います。

3位 いずこねこ「最後の猫工場」

2012年アイドルソングベスト10!に最もランクインしたのがいずこねこの曲でした。
いずこねこの魅力はテクノポップなのだけれどもどこか懐かしさを感じさせるサウンドにダウナーでいて文学的な歌詞だと思いますが、このアルバムでもその魅力が全開です。
Perfumeのブレイク以降アイドルがテクノサウンドというのは珍しくなくなってきました。
しかし、Perfumeと比べると何かが違うと感じることが多かったのも事実です。
そうした中でいずこねこというのはPerfume以降に現れた多くのテクノポップとは明らかに異なる存在だと思います。

凝りに凝った旋律。アイドル・ポップスと呼ぶには難解とさえ思える複合的なリズム。一曲のうちに何種類ものスネアを使う丁寧な編曲。にゃんこテイスト満載のブレイクと想像力を駆り立てられる幻惑的な歌詞の文学性とのギャップも圧倒的なオリジナリティ。ソング・ライティングからマスタリングまで行うサクライケンタはテクノ・ポップの概念を更新する天才だ。
松本亀吉weblog

↑非常に印象に残っているので引用させて頂きます。
本作は今までのアイドルの既成概念を壊したアルバムといっても過言ではないと思います。
とにかく不思議なアルバム。そして何度も何度も聴きたくなる中毒性も兼ね備えています。
13曲中6曲がremixというのも非常に珍しい。またどのremixも素晴らしいのだが中でも「rainy irony 皮茶パパ&PsycheSayBoom!!! remix」は本当に耳に残る。
とにかく色々な方に聴いて頂きたいアルバムです。

2位 吉川友「One for YOU!」

今年発売されたアルバムの中で最も聴いたアルバムはこのアルバム。
このアルバムを聴いていなかったら、アルバム購入者限定のきっかフェスに行っていなかったら、こんなにも吉川友を好きになることは無かったと思います。
それだけ私にとっては思い入れのあるアルバムです。
「こんな私でよかったら」というきっか史上最高のナンバーから始まり、圧倒的な高音を響かせる「Sweetie」王道アイドルソング「きっかけはYOU!」一転してしっとりした曲の「Knight Flight」ととにかくアルバム冒頭の構成が素晴らしい。
また、きっか初のオリジナル曲である「さよなら涙」、ロック調の「ハコの中のブルー」、バラード調の「会いたくなかったら」と様々な吉川友を見せてくれるアルバムになっている。
そして、1stアルバムにして外れの曲が一つも無く全ての曲が高い質であることも特筆すべきことだ。
アイドル戦国時代と言われて久しいがソロアイドルは数えるほどしかいないのが現状です。
その中でグループアイドルですら曲を表現しきれていなかったり、似たような表現に終始してしまっている中でソロでここまで多様性を示してくれている吉川友は本当に素晴らしいと思います。
吉川友、そして本作「One for YOU!」は過小評価されている気がしてならないのです。

1位 Tomato n' Pine「PS4U」

今年のアイドルアルバム1位はこのアルバム以外にはありえないでしょう。
今年とかいうレベルではなくアイドル史に残る名盤だと思います。
とにかく、agehaspringsがメジャーシーンでは出来ないことをやったアルバムだと思います。
agehaspringsの遊び心、そして良いものを作るという覚悟が伝わってくるアルバムです。
「ワナダンス!」「なないろ☆ナミダ」「キャプテンは君だ!」「POP SONG 2 U」「旅立ちトランスファー」「ジングルガール上位時代」といった申し分の無い曲たちに加えて、スキャットマン・ジョンを意識したであろう「Train Scatting」、80年代アイドルソングに近い「ためいきはピンク」、トマパイらしからぬ電子音から始まり、2番からギターの重低音が響き渡り途中からはドラムも暴走して何が何だか分からなくなる「そして寝る間もなくソリチュード(SNS)」、渋谷系を意識した「大事なラブレター」ととにかく名曲しかないアルバムになっています。
先日ミュージックマガジンが選ぶ2012年アルバムJポップ・歌謡曲部門で本作「PS4U」が見事に1位に輝いたそうです。
これを機に多くの方がトマパイの音楽に触れて頂ければと思います。
アイドルだから・・・と言って本作を敬遠することは本当に勿体ないことだと思います。
アイドルに全く興味が無い人にも100%の自信を持って薦めることが出来るアルバム、それが「PS4U」だと思います・
2012年12月29日でTomato n' Pineは散開してしまいます。
しかし、トマパイの音楽は決して消えることはありません。
良い音楽はどんなに時代が変わっても良い音楽であり続けると私は思いたいです。

総括

2012年は本当にアイドルアルバムのレベルが高かったと思います。
そうした中でもやはり1位、2位は不動でした。この2枚のアルバムは自分にとって本当に大きな影響を与えてくれたアルバムです。
この2枚に続くのが(自分の中で)彗星の如く現れたいずこねこでした。
初めて聴いた時に衝撃を受けたのだけど、その衝撃の内容が上手く表現出来ない。とにかく聴いて下さいとしか言えない。
4位、6位、8位はロコドルのアルバムと2012年を象徴するような結果になりました。
ロコドルの質の高さには本当に驚かされます。
5位のBisはこのままの路線で誰にも真似できない領域までいってほしいです。
7位の女子流に関しては色々書きましたが、女子流への期待が高いからこそだと思って頂ければと。
9位のさくら学院はアミューズの育成機関というイメージが先行してて敬遠していましたが何と愚かだったことか(笑)
10位のエビ中はとにかく面白かった(笑)このまま突っ走って下さい。
来年もアイドルアルバムベスト10!が書けるくらい多くの素晴らしいアイドルアルバムと巡り合えればと思います。

その他の候補アルバム(順不同)

9nine9nine

「少女トラベラー」「夏 wanna say love U」「SHINING☆STAR」といったシングル曲を中心に良曲揃いのアルバムに仕上がっています。
ただ、9nineの曲には何かが決定的に足りないと聴くたびに感じてしまいます。
曲は本当に良い曲ばかりなんですけど、高揚感というか聴いていてワクワクしたりもう一度聴きたいなと思うことがあまりないというか。
あまり上手く表現出来ないのがもどかしいのですが・・・
トマパイと同じくagehaspringsがプロデュースしていますが、トマパイの曲とは何かが決定的に違う。
トマパイが散開した影響がどうでるか来年に注目です。

ぱすぽ☆「One World」

前作よりは明らかに良いアルバムになっていると思う。
ただ、あまりにも多様性が無い。
前作、今作共にバラード調の曲が1曲も無いというのはどうなのかなと思う。
ぱすぽ☆は活動期間こそ違えど、年齢的にはBerryz工房℃-uteとほぼ同じなわけで。
ベリキューと同レベルではないにしろ近いものを求めたくなってしまう。

Tokyo Cheer(2) Party「私たち、トーキョー・チアチア・パーティです。ハイッ! ベストだょ」

予想以上に良い曲が多かったというのが初めて聴いた時の印象でした。
奇を衒うような曲は無く古き良きアイドルを思い出させるような楽曲だと思います。
何となく真野ちゃんと似たような雰囲気を感じました。